マインドセット

令和の新入社員が認識すべき5つの事実

2023年10月、大学を卒業して会社に勤め始めた米国のTikTokerブリエルさんが「9時から17時まで働くなんて設定はおかしい」と涙ながらに訴える動画がSNSに投稿され、各所で話題となりました。

日本では「残業なしの9時-17時の労働環境なんてホワイト」という自虐的な奴隷自慢も多く見られましたが、私の感想は『それで、君はどう生きたいの?』でした(彼女の登場の何ヶ月も前に『君たちはどう生きるのか』というタイトルで映画をリリースした宮崎駿はやはり先見の明があると言わざるを得ません)。彼女のような考え方を頭ごなしに否定する気はありませんし、共感できるところもあります。一方で社会構造を考えると割と無理なことを言っているあたり、『子供っぽいな』という感想は持たざるを得ませんでしたが、彼女のような考え方を持つ若手社会人は一定数存在していることは心当たりはあるため、彼ら彼女らに対してどういうことを伝えればいいか考えておくことは、自分を含めミドルのマネジメント層にとって価値があるということは想像できます。そこで、私の経験から、彼女のような人が部下になったときにどんなことを伝えるか、について考えてみようと思い要点を絞ってまとめてみたら、割と密度の濃い人生論・幸福論に関する話になったため記事として公開します。尚ここでいう社会人とは『何かしらの社会に価値を提供する労働に従事する人』とします。また自身で事業を立ち上げるような人というよりも、会社員に向けたものであることについても補足しておきます。

1. 世界の大半の国は市場経済で回っている

市場経済は自由

世界の95%以上の国家で市場経済は導入されており、GDPランキング上位国は全て市場経済を導入している国家です。社会主義国家とされている中国も市場経済を導入することで、目覚ましい発展を遂げ、2010年にGDPランキングで2位になった経緯もあります。Wikipediaによると市場経済という言葉は下記のように説明されています。

市場経済とは、市場を通じて財・サービスの取引が自由に行われる経済のことである。対立概念は、計画経済である。

そして職業選択においても、少なくともアメリカ人や日本人には自由が与えられています。

会社とあなたは雇用契約を結んでいる

市場経済を導入している国家で生きていくためには、何かしらの方法でお金を稼がなければいけません。衣食住という生命としての機能を維持するために必要となる最低限の生活基盤を手に入れるためにはお金が必要になるからです。そのため多くの人は学校を卒業してある程度の年齢に達すると、会社員や公務員、あるいは事業主として仕事をすることになります。

ここでは会社員として働いている方に絞って考えましょう。あなたはたくさんあるお金を稼ぐ方法の選択肢の中から、自分の意志で職を探し、面接を受け、雇用契約書にサインをし、そこで働くことを選んだのです。契約書の条項には、組織の規定に従うこと、労働時間、待遇等の条件が記載されているはずです。だからその職場のルールを守って仕事をする責任はあなた自身にありますもしその責任を果たせない、あるいは果たしたくないということであれば、契約を破棄すべきだと思います。会社はあなたの保護者ではなく、法律上では契約に基づいた労使関係にすぎません。市場経済においては、仕事を辞めることも自由です。なのでやるべきことは泣きながらSNSに動画を投稿することではなく、まずは職場に建設的な相談を持ちかけてみることです。もし柔軟な会社であれば、雇用契約の内容を見直して報酬を削減した形でパートタイムに切り替えてくれるかもしれません。その報酬に納得できないならやはり退職届を出すのがよいでしょう。雇用主側としても、嫌々働く従業員よりも意欲の高い従業員を雇いたいと考えるのは想像に難くありませんし、長期的にはWinWinの関係になれます。

基本的に競争社会

ジョージ・オーウェルの有名なSF小説『1984年』において描かれるような計画経済の社会であれば、働いても働かなくても成果は平等に分配されるだけなので競争という概念自体の必要性がないし、うまくバレずにサボった方が得です。一方で市場経済は、競争を前提としており、かつ格差を助長しやすいプロセスを内包していると言われています。『モノポリー』や『いただきストリート』のような勝者総取り現象が現実として起こっています。事実、一部の富裕層が世界の富を独占しているというニュースは定期的に報じられます。

競争社会の救いは、少なくともアメリカや日本においては努力さえすれば、一定の収入を得ることはでき、人権が保証された人並みの生活を送ることはできるということです。生まれる国や家は運ゲーですが、努力をするかしないかは自分次第です。そして日々努力する人とそうでない人では、10年もあれば大きな差が生まれるのは間違いなく、社会に出て10年も経つと資産額や社会的ステータスといった目に見える差が現れてきます。市場経済とはそういうものであるという認識の上で、自身のキャリアをデザインしていくことは極めて重要だと思います。

2. 自分の価値観を決める

儒教と道教

中国の古代思想は現代においても有用であったり、共感できるものがあります。その代表的として、孔子が説いた『儒教』、老子が説いたと言われる『道教』があり、道教は儒教に対抗する思想として知られています。詳細は割愛しますが、それぞれの思想を端的に表すと、儒教は『成功したい人向けのストイックな思想』であり、対して道教は『出世に執着しないミニマリスト的な思想』と言えます。道教の教えを象徴する言葉に『足るを知る』というものがあります。(※ことZ世代においては、この考え方を持っている人は多い、むしろ持ちすぎている印象を私は持っています)

道教が流行った当初は、『頑張ったところで報われない』社会体制であったと言われていますが、今は正当な努力は(そこそこ)正当に評価され、報われる時代です。ある程度存在する”自分がコントロールできないことに対して足るを知って諦めるのはいい”ですが、”自分の努力でなんとかなることに対してまで諦めが早すぎるのもいかがなものか”と思ったりもするのです。

炎の芸術家・岡本太郎

この瞬間、瞬間に、若さとか、年よりとか、力があるないとか、才能とか、金とか、あらゆる条件を超えて、その持てるぎりぎりいっぱいの容量で挑み、生きるということだ。

岡本太郎『自分の中に毒を持て』

私の持論ですが、道教の無気力的な思想を打ち消すものは、圧倒的な情熱であると考えています。バスケをやめて自暴自棄になった三井の目を覚ましたのは、熱い言葉を投げかけた小暮でしたよね(スラムダンク知らない人すみません)。岡本太郎はフランス留学や戦時の徴兵の体験から、今この瞬間を力強く、全身全霊をかけて生きることを信条にその人生を駆け抜けた芸術家でした。『自分の中に毒を持て』は私も定期的に読み返していますが、とても勇気をもらえます。彼に限らず、今この瞬間を命がけで生きている人たちは間違いなく人生を楽しんでいます。たった一度きりの人生なのですから、泣くほどやりたくないことに時間を使うのはやめて、自分が心から情熱を傾けられること、楽しめることに時間を使えるように、生活を変化させていく意識が何より大切だと思います。仕事だってどうせ何かやらないといけないなら、退屈でつらいものではなくて楽しいものを選んだり、楽しい仕事のやり方に変えればいいのです。仕事をしてる時間だって人生の時間の一部なんですからね。

人生の中心に原則を据える

『7つの習慣』の中でコヴィー博士は、人生の中心には原則を置くべきであると説いています。ものすごく噛み砕いて説明すると、原則以外の何かを中心で自身の価値観を構成してしまうと、いずれ生活が破綻してしてしまうということです。同僚や家族のことを考えずに自己中心的な考え方や行動を取れば、嫌な人になってしまって信頼を失い、仕事や家庭生活にも支障をきたすでしょう。

自分の行動を選択するときに、どういう基準に沿って何を優先するか、一貫性を持って考えられる羅針盤を自分の中に持っていなければ、安定した人生を送るのは難しいのです。この羅針盤を考えるためにどうすればいいのか、という話はまとまった説明が必要になるため、『7つの習慣』を一読いただきたいということでこの記事では割愛しますが、ヒントとなる具体例を一つ挙げましょう。

ヴァージン・グループの創業者リチャード・ブランソンは、『ビジネスは楽しくあるべき』という信条を掲げて、規模としてはスモールですが人間味に溢れる組織カルチャーの、カスタマーサービスに優れたいくつもの企業を設立しました。また彼は冒険好きとして知られ、ロケットを作って宇宙に行ったり、潜水艦を作って深海を探検したり、と話題が絶えない何かと注目されがちな経営者でもあります。

彼の比較として、Appleを創業したスティーブ・ジョブズについて考えてみましょう。ジョブズは『クリエイティブであること』を重要視し、独裁的とも言える組織体制を築きながらも、そこからiPhoneやiPodといった価値あるプロダクトを生み出し偉大な企業を作り上げました。二人とも世の中に大きな価値を提供し、経済的にも大成功を収めた経営者ですが、二人が最も大切だと考えるものは全く異なります。この二人のスタンスの違いこそ、生き方そのものの違いの表れであり、人生の羅針盤に通じるものであると私は考えています。人生の羅針盤は、遺伝子や経験、能力によって千差万別なもので、自分の頭で考え抜いて構築しないといけないものだと思うのです。

3. 他者は自分の思い通りにはならない

なぜ人生の中心に原則を置くべきなのか、という点についてもう少し深掘ってみましょう。アドラー心理学を対話形式で解説した画期的な書籍『嫌われる勇気』には”全ての人の悩みは人間関係の悩みである”と書かれています。コヴィー博士はアドラー心理学の影響を強く受けていると言われていますが、原則を中心とした生き方を推奨する理由についても、この”人間関係の悩みからの解放”も狙ったものであると想像することができます。なぜなら原則以外を中心とした生き方というものは、他人の行動によって悩みが生じる構造となっているからです。例えば娯楽を中心に置く場合、好きなゲームをやることを第一に生活サイクルを組んだとしても、ある日突然運営会社の責任者の判断でサービス終了する日がいつか来ることも考えられるのです。つまり自分が中心に置いているものが自分のコントロール下にないことで、他人の行動のさじ加減如何で大きな悩みが発生しうる状態となっているのです。

最近の幸福論では、幸福を感じるためには自己効力感が重要であり、自己効力感を持つためには『自らが自分の人生をコントロールしている感覚があること』が必要だという考え方があります。幸福になるためには、他者が自分の思い通りにならないという前提があることを理解した上で原則を中心に自分の思考を変えていくことが必要不可欠だと私は考えます。この節の最後に『嫌われる勇気』にも出てくる古代中国から伝えられる言葉を記しておきます。

馬を水辺に連れて行くことはできるが、水を呑ませることはできない

4. 人間は根源的に時間的存在である

ドイツの哲学者ハイデガーは、人間は時間に縛られた生き物であることを『存在と時間』の中で鋭く論じました。人はみな平等に(月や火星に旅行中でなければ)1日24時間の中で生きており、同時に二つのことを行うことはできません。「マルチタスクができる」という人は一定いますが実際には複数のタスクをシングルタスクで高速で切り替えながら行っているだけだと数多くの研究から分かっています。

Dropboxの創業者ドリュー・ヒューストンはこんな言葉を残しています。

インターネットで「あなたの人生は30000日」という言葉を見つけました。最初はあまり深く考えなかったのですが、計算機を取り出して24(歳)✕365(日)と打ち込んでみたところ、なんてこった!9000日あまりもう終わっているではないか。これまで自分は何をしてきたのだろう?

全ては時間とのトレードオフ

  • ラグジュアリーな体験やブランド品、高級車を得るには・・・それなりのまとまったお金を支払わなければいけない。そして、そのお金を手に入れるために裕福な家の出ではない一般的な人は、まとまった時間を仕事に費やす必要がある。仮に経済的自由な生活(FIRE)を手に入れたい場合でも同様である。
  • 結婚してあり、子供を授かるには・・・パートナーを見つけて、パートナーとの関係を構築し、その関係を維持するするための時間が必要になる。
  • 他者貢献によって幸福感を得るには・・・他者に奉仕することに時間を投下しなければならない。
  • 夢を叶えるためには・・・これもまた人並み以上の努力をする時間が必要になる。人の何倍もの練習をした人しかオリンピックの金メダリストにはなれない。

人間が生きられる時間は短いです。人生100年時代と言われていますが、歳を取るほど1年が経つのが体感時間が速くなることを示した『ジャネーの法則』によると、人生の折返し地点は体感時間としては20歳前後と言われています。人生は何をやらないかを取捨選択していかなければ、本当にやりたいことや大切に感じているものの時間がなくなってしまいかねません。

冒頭のSNSに動画を投稿した彼女の「今の仕事に大切な人生の時間を使いたくない」という考え方は、時間の大切さを認識した上での発言であるとも取れます。Z世代はタイパを重要視する世代とも言われていて、時間に対する意識は他の世代以上に強い傾向にあることも想像されます。ただ「自分の時間は大事である。だから仕事じゃなくて友達や彼氏との時間をもっと大切にしたい」というSNS上での愚痴で思考を止めずに、じゃあ大切な人生の時間の使い方をどう変えていくのか、ともう一歩踏み込んで建設的に考える方がいいんじゃないかなと思う次第です。

経営コンサルタントの大前研一氏は、人生を変える手法についてこう述べています。

人間が変わる方法は三つしかない。一つは時間配分を変える、二番目は住む場所を変える、三番目は付き合う人を変える、この三つの方法でしか人間は変わらない。もっとも無意味なのは「決意を新たにする」ことだ。かつて決意して何か変わっただろうか。行動を変えない限り、決意だけでは何も変わらない。

大前研一『時間とムダの科学』

5. テクノロジーは働き方を変える

鉄は農具を頑丈で機能的にしたことで農業生産性を飛躍的に高めましたが、鉄の農具を使う農家とそうではない農家で貧富の差を生み出しました。いち早く蒸気の力を手に入れたイギリスは、大量生産の能力を獲得して世界の覇権を握りました。自動車の普及は新たな人流を生み出し、郊外市場(住宅やロードサイドにおけるビジネス)を生み出しました。シリコンバレーに代表されるように、インターネットの力を取り入れて事業をスケールさせた企業群はそうではない企業群に比べて大きな成功を収めました。AIを将棋研究に取り入れた藤井聡太氏は、史上最年少の21歳2カ月の若さで8冠を達成しました。生成AIを活用して28歳で1000万円を稼ぐようなフリーランスも出てきています(参考Link)。これらの事実は、テクノロジーの力を取り入れることで知識も経験も飛び越えて、若手が圧倒的に大きな成果を上げられる可能性を示唆しています

ただし、最新テクノロジーを使えば必ずうまくいくというわけではなく、生成AIにどれだけ画像や文章を作らせたところで、それを欲しい人がいなかったり、欲しい人がいるものができても届けられないと作ったものには何の価値もありません。テクノロジーの活用方法・範囲とその目的について考えることが重要です。企業の基幹システム導入プロジェクトが失敗に終わるようなケースを例に考えてみましょう。

失敗プロジェクトを振り返る経営者は「この基幹システムを導入すればバラ色の未来があると思ってたけど、投資がかさんだだけで何も変わらない。むしろ手間が増えたことで現場の不満の声を聞くようになった。」と語ります(※架空の話です)。このような結末に終わる理由の多くは、新しいテクノロジーを導入する目的と、その優先順位を明らかにしなかったことによるものです。優先順位を明らかにしなければ、あれもこれも費用をかけて開発しなければいけないとなり、予算もスケジュールも超過してしまいます。そこで予算を抑えて期日を守ろうとなると、全ての特徴が5割の完成度のシステムとなってしまい、バラ色の未来からは程遠い現実が訪れるというわけです。

個人でも同じです。ここまで見てきたように、”自分の人生をどういうものにしたいのか”、”どんな基準で何に時間を使っていくのか”、ということについて深く考えて取捨選択した上で、成し遂げたいことにフォーカスしてテクノロジーを活用していくべきです。あれもこれもやりたいけど、テクノロジーを使えば何でもできるようになる、ということはあり得ません。テクノロジーの活用方法について理解するには、時代を超えても変わらない本質的で考え方を土台にすることを強く推奨します。ピーター・ドラッカーの書籍が個人的には最もおすすめですが、とっかかりやすいところだと、『イシューからはじめよ』『論点思考』『仮説思考』といった書籍から学び始めるのがいいと思います。

まとめ

あれこれ書いてきましたが、伝えたいことを端的にまとめると、当事者意識を持って自分の生き方をデザインし、選択することが最も大事であるということです。

いつの時代も若い内は、親や教師といった他人が決めた価値観やステレオタイプ(例えば大企業に入って出世することが人生の成功の秘訣みたいな考え方)にとらわれて生きていて、能動的に自分の生き方を選び取れないものである、という考えが頭に浮かんできました。思い返せば私自身も社会人になってすぐの頃は、世間知らずで小生意気な言動を取っていました。大学を出た瞬間から大人扱いされたところで、実際の精神が未熟なのは無理もないことです。社会で経験を積むにつれて、個人の価値観は形成されていくものでしょうが、周囲の先輩社会人はその価値観の形成を促すような情報を適宜与えてあげるのも一つの役目なんだと思います。そして、そのアドバイスを受け取る側も、社会人になってなるべく早い段階で、遅くとも30代くらいまでの間には自分の人生をどうしたいのかは決めておこうという意識があるとよれば尚良いと思います。

すぐに始められる具体的なアクション

ここまでは抽象度が高い話も多かったので、すぐに始められる具体的なアクションについても紹介しておきます。

①古典的名著を読む

『嫌われる勇気』、『7つの習慣』、『自分の中に毒を持て』、『人を動かす』あたりの鉄板ベストセラーがおすすめです。この記事を書くにあたっても、これらの書籍を読んだ価値観の影響を受けていますが、ごく一部しか紹介できていないので、これらの本を手にとってみて自分の中で咀嚼してほしいです。最新のベストセラーの99%以上は古典的名著の焼き増しです。アリストテレスの政治学や孔子の論語まで時代を遡って読んでみるのも非常にオススメしたいです。

②バケットリストを作る

バケットリストとは、「生きているうちに自分がやりたいことの期限付きリスト」です。自分の中で何歳のときまでに何をやりたいのか、を決めておくことは大切です。全部ができるかどうかはその人次第だとは思いますが、ある年齢を過ぎるとできなくなる経験が残念ながら出てきます。そういったことがなるべく出ず、後悔のない人生を送るためにもバケットリストを作ることはオススメです。また原則を中心とした生き方をする上で必ず必要となる、その羅針盤となる価値観を形成する際にも役に立ってきます。

③原体験を掘り起こす

自身の人生の価値観は自分自身でしか決められない理由が、その価値観が多くの場合、個人の原体験に紐づいて決まってくるからです。三つ子の魂百までと言いますが、自分の昔の成功体験や嬉しかった体験を思い返してみると、そこには自分の生き方の軸となるような考え方が潜んでいるはずです。両親や親戚に自分がどんな子供だったか聞いてみるのもいいでしょう。

④『楽しめるかどうか』×『稼げるかどうか』 の二軸で自身のキャリアを考える

リチャード・ブランソンのように仕事を楽しむという価値観は、大多数の人にとってキャリアを考える上での大事な軸になり得ます。そしてもう一つの軸は稼げるかどうか。自分が満足できる水準の衣食住を維持するための稼ぎしかなければ、市場経済が導入された資本主義社会では、幸せからは遠のいてしまう可能性が非常に高いです。稼げる/稼げない、楽しい/楽しくないの閾値は人それぞれなので、それを定量的、定性的に基準を設けてみましょう。その上で今の自分はどのあたりにいて、今後どうやって右上のゾーンに行くのかを考えてみましょう。どういうルートで右上に行けるかは人それぞれの状況次第だと思いますが、今いる場所よりも下を回らない道、すなわち楽しさが落ちることがない道を選ぶことをオススメします。

最後に

多くの社会人にとって企業や業界、ひいては社会の中でどのような立ち回りをするかという問題は極めて重要な関心事となりますが、”そもそも自身が所属する企業とはどういう存在なのか”ということを理解すれば、社会人生活がより過ごしやすくなると私は考えています。なぜなら”企業に流れる力学や論理が分かれば、事業へのより効果的な貢献方法や自身の進退(つまりは離職するかどうか)といった社会における動き方の判断の精度を上げられるから”です。

いくつかある企業形態の中でも、株式会社は現代社会で中心的な組織体です。Apple・Microsoft・Alphabet(Google)・Amazonなどはいずれも株式会社という組織体ですが、数十万人~数百万人の規模の社員数を誇り、小さな国家の政府以上の予算と絶大なパワーを持っていたりもします。重厚長大な会社もある一方で、社員数100名そこそこのOpenAIが世界中のあらゆるビジネスを変革しようとしたりしています。このあたりの個別企業の事情や、現代社会における企業の位置付けや役割等についてここから考察していくと長編記事となってしまうので、『企業とはどういう存在なのか』というテーマで、今後数回に分けて記事を作成していきたいと考えています。

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